木村一基

天才の影に埋もれた才能

木村一基王位のことを「解説の面白いただのおっさん」だと思っていた方もいるかも知れません。しかし若き日の木村王位は、その将来を大いに嘱望された期待の若手棋士でした。その証拠に彼が2001年に残した勝率8割、60勝以上を同時に記録したのは、後の藤井七段しかいません。そんな彼にとって不運だったのは、彼が活躍した時代があの天才の全盛期だったことです。そう羽生九段です。

おっさんの希望の星

羽生九段によって跳ね返された幾多のタイトル戦も含め、木村王位は6回のタイトル挑戦に失敗します。気づけば46歳。それまでのタイトル獲得最年長記録は37歳です。しかし不屈の、まさしく不屈の闘志で2019年王位戦まで辿り着いた木村王位は、若き豊島名人を4勝3敗で下し見事タイトルを獲得したのです。